活用事例

活用事例

千手観音像の非破壊検査
文化財の秘密を究明する

撮影装置:phoenix v│tome│x C450
試料寸法:280 × 174 × 552 mm
試料材質:木材・鉄

スキャン時間:33 分(11分×3スキャン)
ボクセルサイズ:139μm

仏像の非破壊検査

Issue

来歴不明だった仏像の構造を調査する

本試料のオーナーは仏像の愛好家で、数十年前に仏像の顔つきや構造に惚れ込み購入したものの、作者などの詳細は判明していませんでした。
当社に持ち込まれる以前に放射性炭素年代測定による調査が行われており、1160~1252年に製作された可能性が高いということがわかっていました。
また、重量が軽かったことから内部は空洞であることが予想されていましたが、CTスキャンでは本当に空洞なのか、どのように製作されているかを確認することが目的でした。

Point 01

ミリフォーカスCTでマルチスキャン

ミリフォーカスCTでマルチスキャン

仏像は大部分の材質が木材であり、良好なX線透過像を得やすいことから、CTスキャンの対象としては撮影難度の高くない試料であるといえます。ただし、今回の仏像の身長は552mmあり、大型のミリフォーカスCTでも3分割のマルチスキャンで撮影する必要がありました。
また、木材の劣化により、振動に対して多少のガタつきがあったことから、台座と仏像の勘合部に緩衝材を詰めたり、仏像の肩に緩衝材を挟んでテープで固定するなどして、撮影中の振動によるアーチファクトの発生を防いでいます。

Point 02

内部空洞やパーツの接合方法を確認

広範囲の製品形状を短時間で取得

仏像の頭部と胴体には、それぞれ独立した空洞が存在することが確認できました。これは内刳りという技法で、木彫仏の内部を空洞にすることで乾燥による割れを防いでいるようです。
また、両側面から20本ずつ伸びる腕や、精緻な造形の頭部などの分割で製作されたパーツは、金属製の鎹(かすがい)や釘で接合されている様子が確認できます。

Point 03

修復された右足の断層画像

仏像の右足に修復の跡

仏像の右足は塗装や造形品質が他の部位と異なっており、外観からでも補修されていること予想されていましたが、CTスキャンの断層画像を確認してみると、内部の木目の映り方が全く異なっていました。そのため表面上の補修だけではなく、喪失した右足を作り直していることがわかります。

Point 04

仏像内部の空洞に巻物

仏像内部の空洞に巻物

くり抜かれた胴体の内部には、直径約21mm、長さ約92mmの筒状の物体が収蔵されていることが確認できます。断層画像(左)で確認すると、筒の中心部に空洞があることに加え、薄い層の集合体であったため、巻物である可能性が高いことが判明しました。

このような完全に密閉されており、文化的価値から分解して内部を確認することができない対象物において、CTスキャンによる内部の観察は唯一の方法であるといえます。海外でもミイラ化した遺体が収蔵された仏像を医療用CTで可視化した事例が公開されるなど、CTスキャンは仏像の検査手法の一つとして広がりつつあります。

サンプル撮像画像

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